Menu JLPT / 1997: JLPT-2 (N3-N2)
Japanese language proficiency test
009 - Task 1
Grammar and Reading

 
問題Ⅰ 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1234から最も適当なものを一つ選びなさい。
 
あすは、わが子の入学試験の発表があるという、その前の晩は、親としての一生のなかでも、いちばん落ち着かなくてつらい晩のひとつにちがいない。
  もう何十年もまえ、ぼくが中学の入学試験をうけたとき、発表の朝、父がこんなことをいった。
 「お前、きょう落ちていたら、欲しがっていた写真機(注1)を買ってやろう」
ふとおもいついたといった調子だったが、それでいて、なんとなくぎごちなかった(注2)へんなことをいうなあ、とおもった。おとうさんは、ぼくが落ちたらいいとおもってるのだろうか、という気がした。
  そのときの父の気持ちが、しみじみわかったのは、それから何十年もたって、こんどは自分の子が入学試験をうけるようになったときである。
  おやじ(注3)も、あの前の晩は、なかなか寝つか(注4)れなかったんだな、とそのときはじめて気がついた不覚(注5)であった。おやじめ、味なこと(注6)をやったなとおもった。あまり好きでなかったおやしが、急になつかしくなった
  (中略)
もし入学試験に落ちたら、いちばんつらいのは、もちろん親よりも本人である。
  それを、親が失望のあまりついグサッと胸につきささるようなことをいったら、ということになる。
  よし、おやじにまけるものかと決心した。ほくはすぐ感情を顔に出し怒り声になるタチ(注7)である、落ちたときいた瞬間にいう言葉を、二、三日まえから、ひそかに(注8)⑦練習した
「そうか( ⑧ )、こんなことぐらいでがっかりするんじゃないよ」くりかえしているうちに、自分が、まず落ち着いてきたのが妙だった。
(花森安冶「もし落ちたら」1963年2月3日付朝日新聞朝刊による)
(注1)写真機:カメラ
(注2)ぎごちない:不自然だ
(注3)おやじ:父。おやしめ:ここでは父親のことを親しみを込めて言っている。
(注4)寝つく:眠りの状態に入る、眠りにつく。寝うかれない=寝つけない
(注5)不覚:不注意で十分考えていないこと
(注6)味なこと:ふつうとちがったじょうずなやり方
(注7)タチ:性格、性質
(注8)ひそかに:人に知られないように
 
問(1)  ①「お前」とあるが、だれのことか。

     1.筆者の妻
     2.筆者の息子
     3.筆者の父
     4.筆者
  
問(2)   ②「へんなこと」とあるが、筆者はなぜそう感じたのか。

     1.落ちていたら、買ってくれるというから。
     2.家が貧しいのに、買ってくれるというから。
     3.まだ子どもなのに買ってくれるというから。
     4.写真機は欲しくないのに買ってくれるというから。
  
問(3)  ③「そのときの父の気持ち」とは、どんな気持ちか。

     1.合格していたら息子と祝いたいという気待ち
     2.落ちていたち息子をなぐさめたいという気持ち
     3.落ちていたら息子を怒ってやろうという気持ち
     4.落ちていたほうが息子のためにいいと思う気持ち
  
問(4)  ④「あの前の晩」とはいつか。

     1.父が受験する前の晩
     2.筆者が受験する前の晩
     3.父の試験の発表の前の晩
     4.筆者の試験の発表の前の晩
  
問(5)  ⑤「急になつかしくなった」とあるが、なぜか。

     1.父親が買ってくれた写真機を思い出したから。
     2.父親も自分と同じ気持ちだったことに気がついたから。
     3.入学試験を受けたときの自分の気持ちを思い出したから。
     4.入学試験に落ちたときの自分の気持ちを思い出したから。
  
問(6)  ⑥「親が失望のあまりついグサッと胸につきささるようなことをいったら、」のあとには言葉が省略(しょうりゃく)されている。どんな言葉を続けたら意味がよく通るか。

     1.息子がかわいそうだ
     2.息子が安心してしまう
     3.息子が落ち着くだろう
     4.息子が死んでしまう
  
問(7)  ⑦「練習した」とあるが、なぜ練習したのか。

     1.息子が、試験に不合格になってしまうと困るから。
     2.自分の不安な気持ちを知られるのがはずかしいから。
     3.自分が感情をはっきり顔に出してしまうと困るから。
     4.不合格だろうと思っていることを知られると困るから。
  
問(8)  (⑧)に人る適当な文はどれか。

     1.頭が悪いからだ、それで
     2.お前はだめだ、だから
     3.残念だったな、しかし
     4.よかったな、しかも