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Menu JLPT / 2006: JLPT-1 (N2-N1)
Japanese language proficiency test
010 - Task 2
Grammar and Reading

 
問題Ⅱ 次の(1)から(4)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。
(1)私は、大学時代、テニスの選手だった。下手なプレーヤーであったが、テニスで学んだものは数限りない。そのなかで、私にとって最も大きなものは、<( ① )>ということだった。どんなに悔しくて、頭のなかが真っ白になりつつ(注1)逆上していても、勝った相手を(注2)讃えて、握手をしなけゼぱない。これは簡単なことではない。
  あるとき、私は大(注3)接戦の末に負けた。(注4)マッチポイントを三つも握りながら、逆転負けした。私は、ネットを挟んで、対戦相手と握手をし、ラケットを小脇にテニスコートから出た。
 そして、コーチのところへ行き、
  「相手が(注5)一枚うわてでした」
(注5)と言った。すると、コーチは、私の頭をラケットの柄で殴り、
「負けたのは、相手が強かったからか?違う。お前が弱かったかち(注6)負けたんや。相手(注6)が強いなんて言うのは、負けたのを、相手のせいにしてるんや」
と叱り、さらに、こう怒鳴った。
  「ゲームが終わって、相手と握手をしたときの、お前の顔は、いったい何や。相手の顔から(注7)目をそむけて、ただ手だけ出しやがって。お前、いったい、何のために、テニスをやってきたんや。もう(注8)いっぺん、相手のところへ行って、心からの笑顔で、「おめでとう」って言ってこい。それができんのなら、もうあしたかち部室に来るな。テニスなんか、やめてしまえ」
  泣きそうになりながらも、私はコーチの言うとおりにした
       (宮本輝「生きものたちの部屋」による)
(注1)逆上する:激しい悔しさや怒りなどのために興奮して心の落ち着きを失う
(注2)讃える:すぐれているとほめる
(注3)接戦:お互いに同じ程度のカをもっているため、勝敗がなかなか定まらない戦い
(注4)マッチポイント:テニス・バドミントン・バレーボールなどで、試合の勝敗が決まる最後の1点
(注5)一枚うわて:技能・学問・知識などが他の人より少しすぐれていること
(注6)負けたんや:(関西地方で言い使う)
(注7)目をそむく:視線を避ける
(注8)いっぺん:1度、1回
問(1)  ( ① )に入る最も適当なものはどれか.
     1.コーチの指示に従う
     2.本心を見せない
     3.接戦を制する
     4.まけを認める
  
問(2)  ②「対戦相手と握手をし」とあるが、筆者はとのように握手をし九のか。
     1.相手を讃えてほほえみながら握手をした。
     2.相手の顔をちゃんと見ずに握手をした。
     3.相手の手をしっかり握って掘手をした。
     4.悔しいので相手をにらんで握手をした。
  
問(3)  コーチが筆者の頭を殴ったのはなぜか。考えられる理由として最も適当なものはどれか。
     1.筆者が自分が負けたのは相手がうまいせいだと弁解したから
     2.筆者が試合の後に逆上してテニスコートを出てきたから
     3.筆者が力を込めずに手だけ出すという形で握手をしたから
     4.筆者がマッチポイントを三つも握っていたのに負けたから
  
問(4)  ③「私はコーチの言うとおりにした」とあるが、何をしたと考えられるか。
     1.自分が弱いから負けましたとコーチに言い直した。
     2.相手のところに行って笑顔で勝利を讃えた。
     3.次の日からテニスの試合に出るのをやめた。
     4.しばらく部室に近寄らないようにした。
  
(2)教育には体制を維持する保守的な側面と、新たな社会を創造する革新的な側面があるが、環境教育はまさに後者である。1989年に日本政府が主催した「地球環境に関する東京会議」において(注1)提唱された環境(注2)倫理は、従来より環境教育が目指すものであり、(注3)オルタナティブな生活の基盤をなすものである。環境教育の目指す人間像は、時間的には次世代を、空間的には全世界を視野に入れ、行動できる人間である。環境教育は非常に幅広く、その範囲を規定することができない。従来から行われている自然(保持)教育、野外教育、保全教育、公害教育などはもちろん環境教育に含まれるが、自然科学のアプローチのみでなく、人間の思考行動様式のすべてを反映した、人文・社会科学・芸術等による新たな創造的アプローチが求められている。さらに戦争が最大の環境破壊であること、今日の環境問題のいくつかが構造的暴力によって引き起こされていることを考慮すれば、平和教育、国際理解教育や人権教育は環境教育と密接に関係している。
         (里深文彦「国際環境を読む50のキーワード」による)
(注1)提唱する:考えや主張を公表して、広く人々に呼びかける
(注2)倫理:人として守るべき道
(注3)オルタナティブな~:既にあるものの代わりとなる、新しい~
(注4)人文:哲学や歴史などを研究する学問
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問(1)  この文章では「環境教育」をどのような教育としてとらえているか。
     1.将来のことや世界全体のことを考え、よりよい社会を作るための教育として
     2.今まで受け継いできた社会を次の世代にそのまま残すための教育として
     3.住みなれた社会を守るために、新しい体制を否定する教育として
     4.世界中を回り、生活の碁盤をなす環境倫理を広める教育として
  
問(2)  「新たな創造的アプローチ」はどのような点に特徴があるか。
     1.自然科学的アプローチによる社会科学や芸術を考慮に入れている点
     2.自然の中での人間の行動を調査した上で、環境を考えようとする点
     3.公害をなくすことだけでなく、新たな自然を作ろうとする点
     4.人間がどう考え、どう行動するかを視野に入れている点
  
問(3)  この文章の内容と合っているものは次のどれか。
     1.環境教育は自然についてだけの教育である。
     2.環境教育は変化が求められている。
     3.環境教育は今まで保守的であった。
     4.環境教育は戦争とは関係がない。
  
(3)生まれてすぐから人を(注1)注視し、人の動きを目で追い、3ヵ月頃にはおとなの表情とおなじ表情をつくり、半年もたつと相手の感情もわかり始めるような(注2)乳児が、他者を利用して必要な知識や技能を学ぶのはきわめて自然なことだと思われる。こうした仕組みのひとつが「社会的参照(social referencing)」である。
アメリカ合州国の発達心理学者キャンボスは、1歳前後で、(注3)ハイハイや歩行によって自分で移動が終るようになった子供の社会的参照のようす実験的に確かめた。たとえば、こどもが実験室に(注4)なじんで母親といつものように遊んでいる状態になった時に、突然大きな音をたててみる。するとそれまで遊んでいた子供は、あわてて母親の顔を見る。その時母親に恐怖の表情をしてもらうと、このグループの子どものほとんどが遊ぷのをやめ、あわてて母親に近づいたり抱かれたがったりした。ところが、この時に母親が( ③ )を見せるように指示されたグループの子どもでは、母親の顔を見て、心配することはないと判断したように再び遊びに戻ったのである。これは子どもが自分では処理できない事態になると、まわりの人々、とくにもっとも妊きな人がいればその人の表情を参照して、どうしたらよいかを判断しているのだと解釈できよう。
       (波多野誼余夫・高橋恵子「文化心理学入門---子どもと教青」による)
(注1)注視する:じっと見つめる
(注2)乳児:生まれてから1歳ぐらいまでの子ども
(注3)ハイハイ:乳児が手と足で這って進むこと
(注4)なじむ:慣れて落ち着く
問(1)  ①「こうした仕組み」とあるが、どんな仕組みか。
     1.乳児がまわりの人々を利用して学習する仕組み
     2.乳児がおとなの表情とおなじ表情を作る仕組み
     3.乳児が人を注視し、人の動きを目で追う仕組み
     4.乳児が相手の感情を理解するための仕組み
  
問(2)  この文章で紹介されている実験では、まず初めに、何をしたか。
     1.こどもを実験室に入れ、大きな音をたてて遊んでもらった。
     2.こどもを実験室に入れ、ハイハイや歩行ができるか確かめた。
     3.子どもが自分の母親以外の人にも慣れていっしょに遊べる状態にした。
     4.子どもが実験室に慣れて母親といっものように遊び始めるのを待った。
  
問(3)  「突然大きな音をたててみる」とあるが、これは何のためか。
     1.母親がこどもにどう対応すべきか判断できない状態にするため。
     2.こどもが自分で母親のところまで移動できるかを確認するため
     3.子どもが自分ではどうしたらよいかわからない状況を作るため
     4.母親が子どもにどんな表情を見せるかをくわしく調べるため
  
問(4)  ( ③ )に入る最も適当な言葉はどれか。
     1.あわてた表情
     2.厳しい表情
     3.笑顔
     4.涙
  
問(5)  この実験では、とのようなようすが確認されたか。
     1.子どもがどうしたらよいか判断できなくなったとき、親しい他者の表情を参照して行動を決めるようす
     2.子どもが自分では処理できない事態になると、まわりにいる好きな人の感情が参照できなくなるようす
     3.母親が子どもの表情を参照して、自分が子どもにどう対応したらよいかを判断するようす
     4.母親がまわりの人の表憎を参照して、子どもにどんな指示をしたらよいかを決めるようす